
不動産と暗号資産の相続税率は?名古屋市で比較する際の注意点も解説
「不動産と暗号資産を相続した場合、税金がどのように計算され、どんな点に注意すべきか」をご存じでしょうか。不動産も暗号資産も、相続時に納める税金や評価方法に大きな違いがあり、特に名古屋市のような都市部ならではの事情も影響します。本記事では、不動産と暗号資産の評価や税率の違い、最大課税リスク、そしてご自身の税負担を抑える備えについて、誰でも分かるよう丁寧に解説します。
不動産と暗号資産の相続税の評価・課税対象
名古屋市で不動産と暗号資産(こうごうしさん)を相続する場合、それぞれの評価方法や課税の対象の違いを、誰にでも分かるようにご説明します。
まず不動産の相続評価ですが、原則として「時価(その時点での実勢価格)」に基づいて評価されます。具体的には、不動産鑑定士による鑑定評価、公示地価の8割前後となる相続税評価額(路線価方式や倍率方式による)、建物については固定資産税評価額を用いる場合があります 。特に、路線価や固定資産税評価額は国税庁が毎年公表している資料から確認でき、一定のルールに基づいて評価されるため、公平性の高い基準となっています 。
次に暗号資産の評価ですが、現時点(2025年)では法律上の統一的な評価ルールは整備されておらず、亡くなった日の取引所における時価(最終的な取引価格)で評価するのが一般的です 。取引が活発な暗号資産(たとえばビットコインなど)は取引所の残高証明書や売却価格で評価し、取引の少ないマイナーな銘柄は、類似資産や取引実績、専門家の評価などを参考に個別評価されることがあります 。
名古屋市という地域の特性として、不動産の評価に関しては市内の地価動向や公示地価・路線価などが名古屋市の各エリアごとに異なる点に留意が必要です。たとえば交通利便性や再開発計画などにより、一部地域では取引価格が全国平均より高騰している場合があり、その実勢価格を反映させる鑑定評価が有効となります 。
以下に、不動産と暗号資産の評価方法の違いを簡単な表でまとめました。
| 対象 | 評価基準 | 名古屋市で注意すべき点 |
|---|---|---|
| 不動産 | 実勢価格(時価)、相続税評価額、公示地価、固定資産税評価額 | エリアごとの地価動向、公示地価や路線価の差異 |
| 暗号資産 | 相続日の取引所価格・残高証明書、場合により専門家評価 | 価格変動の激しさ、残高証明書の取得可否 |
事例に見る課税の仕組みと税率の違い
ここでは、名古屋市で不動産と暗号資産を相続した場合を想定し、それぞれの課税の仕組みと税率の違いをわかりやすく整理します。
まず、不動産の譲渡に関しては、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」によって税率が大きく異なります。所有期間が売却年の1月1日時点で5年以内であれば短期譲渡所得(所得税約30・63%+住民税9%=合計約39・63%)が適用されます。5年超であれば長期譲渡所得(所得税約15・315%+住民税5%=約20・315%)となり、税負担が大きく軽減されます 。
一方、暗号資産を相続した場合にはまず相続税がかかります。相続税の最高税率は55%です。さらに相続後にその暗号資産を売却すると、取得価格との差益に対して所得税・住民税が最大で合わせて約55%課され、結果として合計で最大110%の課税となるリスクがあります 。
下表は、名古屋市において不動産と暗号資産を相続し、売却した場合の税率の違いを概略的にまとめたものです。
| 資産区分 | 課税内容 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 不動産(長期譲渡) | 譲渡益に対する税金 | 約20・315% |
| 暗号資産(相続+売却) | 相続税+譲渡益に対する所得税・住民税 | 最大で約110% |
| 不動産(短期譲渡) | 譲渡益に対する税金 | 約39・63% |
たとえば、取得日が5年以上前の不動産を売却した場合には長期譲渡扱いとなり、税率は20%程度に抑えられます。一方、暗号資産は相続直後に評価額が高騰していれば高額な相続税が課せられるだけでなく、その後売却するタイミングによっては利益に対してさらに高い税率がかかり、結果として手元に残る資金が相続財産を下回るケースもありえます。

最大110%課税のリスクと回避のための視点
暗号資産を相続した場合、評価額に対して最大で55%の相続税が課せられることに加え、相続人が売却する際には譲渡益に対して最大55%(所得税45%+住民税10%)の課税が発生することがあります。このように相続税と売却時の所得税・住民税が重なると、合計で最大110%の税負担になる恐れがあるのです。たとえば、被相続人が100万円で取得した暗号資産が相続時に6億円の価値になっていた場合、相続税で約55%が課され、さらに売却すると巨額の譲渡益に対して最高55%の課税が重なり、結果として税率が110%に達することもあります。これは暗号資産特有の価格変動の大きさと取得価額との乖離によって生じるリスクです。ですので、暗号資産を相続する際には、事前に評価額や取得価額の確認・対策をしておくことが大切です。
一方、不動産については「取得費加算の特例」という制度があり、相続税の課税額の一部を譲渡所得の取得費に加算できるため、譲渡所得税の負担を軽減できます。たとえば、相続税評価額8,000万円、相続税額6,300万円の物件を売却する場合、相続税額のうち2,520万円分を取得費に加算でき、その結果、譲渡所得税を約432万円に抑えることができるという具体的な効果が確認されています(所有期間が5年超の場合)。この制度は、相続後3年10か月以内に売却するなど要件がありますが、適用が可能な場合には非常に有効な節税策となります。
以下の表は、名古屋市で不動産と暗号資産を相続した場合における課税リスクや回避策を比較したものです。
| 対象資産 | 課税リスク | 回避・軽減のポイント(名古屋市の場合も同様) |
|---|---|---|
| 暗号資産 | 相続税+売却時の所得税・住民税で最大110%課税 | 取得価額・評価額のギャップを把握、生前売却や管理体制の整備で税負担を回避 |
| 不動産 | 譲渡益に対して譲渡所得税が発生 | 取得費加算の特例を活用し、相続税額を取得費に加算して譲渡所得税を減らす |
つまり、名古屋市で不動産と暗号資産を同時に相続した場合、不動産に関しては取得費加算の特例によって税負担を軽減できる可能性がありますが、暗号資産については税負担が相続資産の時価を上回るリスクもあります。そのため、暗号資産は生前に整理・売却するか、管理体制を整えて取得価額やアクセス情報を明確にしておくなど、対策を講じておくことが重要です。

税負担を抑えるための対策と準備策
名古屋市で不動産と暗号資産を相続された方向けに、税負担を軽減し安心して準備を進める手立てをご紹介します。
まず、不動産については「取得費加算の特例」が大変有効です。相続開始日(被相続人の死亡日)の翌日から「相続税の申告期限の翌日以後3年以内」、すなわち概ね相続開始から3年10か月以内に譲渡すれば、相続税の一部を取得費に加算できます。これにより譲渡所得が実質的に減り、所得税・住民税の負担を軽減できます。なお、取得費加算の額には上限がありますので、譲渡益を上回らない範囲での加算となります。手続きには確定申告時に「相続税申告書の写し」や「取得費加算の計算明細書」等の添付が必要です。期限内の対応と書類準備が重要です。※
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 相続税申告期限の翌日以後3年以内(概ね相続開始から3年10か月以内) |
| 加算対象 | 譲渡した不動産に対応する相続税額(譲渡益を超えない範囲) |
| 必要書類 | 相続税申告書の写し、計算明細書、譲渡所得の内訳書 |
次に、暗号資産(いわゆる仮想通貨)については、生前に取引記録やアクセス情報を整理し、相続人が速やかに資産内容を把握できる体制を整えておくことが不可欠です。暗号資産は取引所やウォレットのアプリ、外部ストレージなどに分散して管理されており、故人が伝えていなければ相続人が財産の所在を把握するのに非常に困難です。またパスワードや秘密鍵が不明でも相続税の課税対象になり得ますので、事前に一覧表を作成し、取引所やウォレットの種類、保有銘柄や数量、アクセス方法などをまとめておくことが大切です。
最後に、名古屋市での相続という視点からは、市内で相続に強い税理士や司法書士に早めに相談することをおすすめします。不動産評価や適用できる特例、暗号資産の評価方法やアクセス整理など、個別の事情に応じた助言が得られると安心です。特に取得費加算の特例には期限や書類要件があり、暗号資産は管理・評価ともに複雑ですので、専門家によるサポートが心強いでしょう。
まとめ
名古屋市で不動産と暗号資産を相続する際には、それぞれの資産に対する評価方法や課税体系の違いを正しく理解することが大切です。不動産は評価の透明性があり、取得費加算の特例など税負担を和らげる制度があります。一方、暗号資産は価格変動や取引履歴の明確化が求められ、相続税と売却時課税による大きな税負担が生じるリスクがあります。税負担を最小限に抑えるためには、事前準備や管理体制の整備、専門家への相談が不可欠です。大きな損を防ぐためにも、早めに対策を考えることが安心に繋がります。
熊田
キャリア15年
保有資格
- 宅地建物取引士
- 住宅ローンアドバイザー
- 損害保険募集人
専門分野
名古屋市・北名古屋市・春日井市の不動産を専門に取り扱っています。
住宅用地や中古住宅、中古マンション、収益物件などがメインですが、取引トラブルの多い土地売買が得意です。


