
不動産売却時の越境トラブルはどうする?塀や庭木の枝と境界確定の対処法
土地や実家を相続したものの、いざ売却を進めようとしたとき、「塀が隣地に張り出していないか」「庭木の枝が越境していないか」といった心配はありませんか。
越境問題は、売却時の大きなトラブルにつながりやすく、知らずに放置すると手続きが滞ることもあります。この記事では、不動産売却を成功させるために知っておきたい越境の基礎知識と、境界確定や具体的な対策を分かりやすく解説します。安心して売却を進める第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
越境とは何か―相続した実家や土地の売却前に知っておくべき基本
越境とは、敷地の境界線を越えて隣地へ構造物や植栽などが入り込んでしまっている状態を指します。たとえば、ブロック塀やフェンスが越えて設置されていたり、庭木の枝や根が隣地に伸びている場合が典型的な例です。
「越境」があると、買主が将来のトラブルを懸念したり、住宅ローンの担保評価に影響を与えたりするため、不動産売却において重要な要素となります 。
典型的な越境の事例として以下のようなものがあります:
| 越境の種類 | 例 | 解説 |
|---|---|---|
| 塀・フェンスの越境 | 隣地側にはみ出したブロック塀 | 境界線を越えて構造物が設置されている状態です 。 |
| 庭木の枝・根の越境 | 枝が隣地に伸びた樹木 | 枝や根が隣地へ侵入し、境界を越えている状態です 。 |
| 庇・雨樋の越境 | 建物の庇が空中で越境 | 目に見えない形で境界を越えている例です 。 |
春日井市で相続した実家や土地を売却する際は、境界が不明確であることが少なくありません。長年にわたり測量や境界標の設置が行われていないケースが多く、口頭での取り決めや目視で境界を判断してきたことが背景にあります。そのため、越境の有無は売却を検討する上で早めに確認すべき事項です 。

法的ルールと境界確定の方法
不動産売却の際には、越境問題を法的に適切に対応しておくことが重要です。まず、民法第233条に基づく越境に関する規定をご紹介します。令和5年4月1日より、隣地の竹木の枝が境界を越えている場合、従来は所有者に切除を求める必要がありましたが、改正後は次の場合には自身で切除することが可能になりました。①所有者へ催告したにもかかわらず相当の期間(一般的には2週間程度)以内に切除されない場合、②所有者が不明または所在が分からない場合、③急迫の事情がある場合です。また、越境した根についても土地所有者が切除できるようになっています。越境された土地の所有者が必要な範囲で隣地を使用することも認められています。費用については、越境によって生じた損害や不当利得の観点から原則として竹木の所有者に請求できるとされています。これは複数の自治体の説明ページで共通して明記されている内容です。
| 内容 | 説明 |
|---|---|
| 改正後の切除要件 | ①催告後未対応②所有者不明③急迫事情あり |
| 根の切除 | 境界を越える根も自身で切除可 |
| 費用負担 | 竹木所有者に請求可能 |
次に、境界をしっかり確定するための方法についてご説明します。まず、確定測量図を取得することが基本です。測量士による現地調査を経て、地積測量図を作成し登記申請を行うことで、登記簿に正確な地積と境界情報を反映できます。また、境界が不明確な場合には、筆界特定制度の利用が有効です。
これは、両当事者の同意がなくても筆界を公的に特定する制度であり、訴訟に比べて期間や費用を抑えて解決できるというメリットがあります。確定後の資料は裁判手続きや売却交渉時にも活用でき、安心材料となります。
春日井市で相続された土地や実家を売却する際には、確定測量図の取得は特に大切です。測量によって境界が明確になれば、買主に対して安心感を与え、価格の維持にもつながります。また、境界が曖昧なままだと、売却後に越境トラブルが発覚し、トラブル対応に追われる恐れがあります。したがって、売却前に測量や筆界特定を適切に進めておくことが、スムーズな売却につながる確かな備えとなります。
塀・庭木の枝などの越境トラブルへの具体的対処法
相続で取得した春日井市の実家や土地の売却を円滑に進めるために、隣地との越境トラブルについては丁寧な対応が欠かせません。以下に、塀や庭木の枝が越境している場合の対処法を具体的にご紹介いたします。
| 対処ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 隣人との協議 | まずは丁寧に状況を説明し、どのように対応するかを話し合います | 書面による合意を得ることが望ましいです |
| ② 自助権の活用 | 民法改正により、一定の場合に自ら枝を切ることが可能です | 催告後2週間程度待つことが目安です |
| ③ 記録の保管 | 写真や通知書、覚書などを確実に保存します | 売却時に「対応済」であることを示せます |
まず第一に、隣地所有者との円満な関係を保ちながら協議を行うことが基本です。状況説明や対応方針について直接話し合い、その結果を覚書などに残しておくことで、後々の売却時にも安心材料になります。
次に、令和5年4月1日施行の民法改正により、竹木の枝が越境している場合には、次のいずれかに該当すれば、所有者が自ら切除することも認められるようになりました。「竹木の所有者に相当の期間内に切除を催告したにもかかわらず行われないとき」「所有者の所在が不明なとき」「急迫の事情があるとき」です。特に「相当の期間」は、おおむね二週間程度が目安とされています 。
例えば、枝が強風で折れて隣地に落下する恐れがあるような急迫の事情が生じた場合には、事前の催告を待たずに自ら切除できる可能性もあります 。ただし、切除にかかった費用は、竹木の所有者に請求できる場合が多いことも覚えておくとよいでしょう 。
また、越境した枝を切るためには、必要な範囲で隣地の利用(立ち入り)が認められていますが、使用の目的や日時を事前に通知することが原則です。急ぎの場合や所有者が不明な場合は例外となりますが、使用開始後に遅滞なく通知すればよいとされています 。
さらに、自ら対応した証拠として、写真や通知書、覚書などをしっかり保管しておくことも重要です。売却時に「越境問題に対して適切に対応済みである」ことが示せる資料となり、買主の安心にもつながります。
これらの対応が適切に行われていることは、売却の際にスムーズな契約成立を促進し、価格の低下や買主からの不安を回避する効果も期待できます。塀の越境や枝の伸出といった問題については、早めに手を打つことで、相続した土地の価値を守る大切な準備となります。

越境問題を未然に防ぎ、スムーズに売却につなげる準備
春日井市で相続した土地や実家を売却するにあたって、越境トラブルを未然に防ぎ、スムーズな売却へつなげる準備としては、以下のような対策が重要です。
| 項目 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 境界や越境の確認 | 現地の境界標や杭の有無を確認し、公図や測量図と照らし合わせる | 越境の有無や境界の不明瞭な部分を早期に把握する |
| 専門家への相談 | 土地家屋調査士による測量や、筆界特定制度の活用を検討する | 法的により確実な境界把握を行い、買主に安心感を与える |
| 越境物への対応 | ①撤去可能なものは除去、②覚書などで現状維持の合意を文書化、③必要に応じ一部土地譲渡も検討 | 越境が原因で価格が下がることや買主の不安を回避する |
まず、目視による現地確認や境界標・杭などの確認は、最も基本的な方法です。地積測量図や確定測量図と一致しているか、境界が不明瞭でないかをチェックすることで、問題の早期発見につながります。
さらに、境界や越境の状態を明確にするため、土地家屋調査士に依頼して確定測量を行うか、筆界特定制度を用いて法務局で筆界を特定することも有効です。筆界特定制度は、隣地所有者の協力が得られなくても申請可能であり、行政による公的判断を得られる場として活用できます。
越境物がある場合には、一つ目として可能な限り撤去を行うことを検討してください。撤去が困難な場合には、隣地所有者との協力のもと、覚書(合意書)や承諾書を文書で取り交わして現状の越境を正式に認め合うことが望まれます。必要であれば越境部分の土地を譲渡するなどの柔軟な対応も可能です。
こうした準備を早期に行うことで、買主に対する説明責任を果たし、売却価格の低下を防ぐだけでなく、不動産取引全体を円滑に進めることができます。境界確定や越境対応を早めに進めることは、春日井市における相続土地の売却において、売却成功への第一歩となります。

まとめ
越境は、塀や庭木の枝といった身近な場所で起こりやすく、不動産売却時の大きな障害となることがあります。境界が曖昧なままではトラブルの原因となり、買主の不安や価格低下につながる恐れがあるため、事前確認と迅速な対応が大切です。境界確定や越境対策は、春日井市で相続した土地や実家を円滑に売却するために欠かせません。早めに専門家に相談し、問題の有無を把握し、必要な対応を進めることで、安心して売却への一歩を踏み出しましょう。
小本 康貴
こもと やすたか
キャリア20年
保有資格
- 宅地建物取引主任士
名古屋市、春日井市、北名古屋市の不動産を中心に取り扱っています。
住宅営業の経験もありますので、土地からの購入スケジュール等、住宅に関するご相談もお気軽にお申しつけください。
