
名古屋市で土地売却時の注意点は何?税金や手続きもわかりやすく解説
土地を売却したいとお考えの方、名古屋市での土地売却には独自の法律や手続き、さらには費用面での注意点があることをご存知でしょうか。手続きや税金、境界の問題をしっかり理解しないままだと、思わぬトラブルや損失につながる恐れがあります。本記事では、名古屋市で土地を売却するときに知っておきたいポイントを、分かりやすく解説いたします。安心して土地売却を進めるための備えとして、ぜひご覧ください。
公拡法(公有地拡大の推進に関する法律)に基づく届出・申出の注意点
名古屋市で土地を売却する際には、公拡法と呼ばれる「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づく手続きを必ず確認する必要があります。具体的には、次のような点に注意が必要です。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 届出が必要な土地 | 都市計画区域内で都市計画施設の区域を含む200㎡以上、市街化区域で5,000㎡以上 | 契約前に市長への届出が必要です |
| 申出ができる土地 | 都市計画区域内で100㎡以上 | 市に買取りを希望する場合に利用できます |
| 譲渡制限期間 | 届出または申出後、原則として3週間は譲渡不可 | 「買取りしない通知」または協議不成立で解除 |
まず、該当土地が「都市計画施設の区域を含む200平方メートル以上」や「市街化区域内で5,000平方メートル以上」にあたる場合、売買などによる譲渡の前に名古屋市長への届出が義務づけられています。これは、道路、公園、河川などの施設計画区域が含まれる場合も対象です。契約締結前であることが前提です。市街化区域の場合には5,000平方メートル以上とされています(一部の例外規定を除く)。
また、土地が「都市計画区域内で100平方メートル以上」の場合は、名古屋市に対して買取りを希望する申出をすることができます。こちらは、市に買い取ってほしいときに使える制度であり、届出制度とは別のものです。
届出または申出を行った土地については、「買い取らない通知」があるまで、または「買取り協議の通知」があった後は、その通知から3週間、あるいは協議が不成立となるまでは譲渡できません。届出・申出の日から3週間の制限が設けられています(名古屋市ではその後協議状態に応じた対応があります)。
税金・費用面で注意すべきポイント
名古屋市で土地を売却する際には、税金や諸費用について事前に把握しておくことが重要です。まず、売却で利益が出た場合には「譲渡所得税」「住民税」「復興特別所得税」がかかります。所有期間が「5年以下(短期)」の場合、譲渡所得税は約30%、住民税は約9%、復興特別所得税が所得税額の2.1%加算され、合計で約39.63%となります。一方、所有期間が「5年超(長期)」の場合は、譲渡所得税が約15%、住民税が約5%に加えて復興特別所得税が加算され、合計で約20.315%となり、税率に大きな差が生じる点に注意が必要です。
また、売却価格が取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡所得となり、さらに居住用財産の場合には最大3000万円の特別控除が適用されるケースもあります。このように、取得費や譲渡費用に含まれる項目を正確に把握して申告することが節税の要となります。取得費には購入代金や登記費用などが含まれ、取得費が不明な場合は概算取得費として売却価格の5%を用いることも可能です。
さらに、売却に伴って発生する主な費用として、「仲介手数料」「測量費用」「解体費用」「印紙税」などがあります。たとえば、仲介手数料は売却額に応じて上限が定められており、400万円超では〈売却額×3%+6万円〉に消費税が加わります。また、測量費用は35万~45万円程度、建物解体費用は最低100万円以上かかるケースが多いため、費用の見積もりをしっかり行うことが大切です。
| 項目 | 概要 | 留意点 |
|---|---|---|
| 譲渡所得税等 | 短期:約39.63%、長期:約20.315% | 所有期間を確認し、適用される税率を理解する |
| 特別控除 | 居住用は最大3000万円控除 | 条件に合えば大きな節税に |
| 諸費用 | 仲介手数料・測量・解体・印紙税など | 費用の把握と計画が重要 |
以上のように、税金や費用の違いを理解したうえで売却の検討を進めることが、名古屋市での土地売却において非常に重要です。

売却タイミングと税負担軽減の工夫
名古屋市で土地を売却する際は、所有期間が5年を超えることにより「長期譲渡所得」となり、税率が大幅に軽減される点に注意です。短期譲渡所得では税率が約39.63%(所得税30.63%+住民税9%)、それに対して長期譲渡所得では約20.315%(所得税15.315%+住民税5%)となります。被相続人の所有期間も引き継げるため、相続によって取得した土地であっても、所有期間の合計が5年を超えれば長期譲渡所得として扱われます。ですので、売却の時期を慎重に見極めることが重要です。
また、相続で取得した土地を売却する場合、「相続税の取得費加算の特例」により、相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得(利益)を減らすことで税負担を軽減することができます。この特例は、相続税の申告期限から3年10か月以内に売却する必要があります。取得費加算の額は、相続税額を財産評価額に応じて按分して計算します。代償分割などによる複雑な相続の場面でも、税務上の不利を回避できるよう注意深く判断と手続きを行うことが大切です。
さらに、名古屋市の土地価格の傾向も売却タイミングの判断に役立ちます。市全体では緩やかな上昇傾向が続いており、とくに名駅周辺の中村区や中区栄エリア、守山区や港区などの一部郊外エリアで地価の上昇が顕著です。一方で、他地域では横ばいややや下落とエリアごとの差が広がっています。中部圏全体の不動産価格DIも「現在やや上昇」という状況ですが、数か月先の見通しでは「下落傾向」に転じる可能性も指摘されており、市場の流れを見極める必要があります。
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| 所有期間による税率 | 短期:約39.63% → 長期:約20.315% |
| 相続時の取得費軽減 | 相続税の取得費加算の特例で税負担軽減(期限あり) |
| 市況の把握 | 名駅・栄などは地価上昇、その他エリアは横ばいまたは下降傾向 |
これらを踏まえ、税制の適用時期や地価動向を総合的に判断し、売却の時期を慎重に選ぶことが、名古屋市での土地売却において高い効果を生む工夫となります。
境界や分筆、登記に関する注意点
名古屋市で土地を売却する際、まず隣接地との境界が不明瞭であると、後々のトラブルを招くおそれがあるため、境界確定測量を行って明確にしておくことが大変重要です。測量の結果をもとに地積測量図を作成し、法務局への申請に備える必要があります。
| 項目 | 目的・意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 境界確定測量 | 隣地との境界を明らかにする | 境界標の設置や測量費用が必要 |
| 分筆登記 | 一筆の土地を複数筆に分けて登記上区別する | 正確な地積測量図が不可欠(境界未確定では不可) |
| 相続登記 | 不動産の所有者名義を正式に変更 | 令和6年4月1日以降、相続を知った日から3年以内に申請が義務化 |
土地を分割して売却したい場合は、任意ではありますが、まず分筆登記を検討すべきです。分割後に別々の地番となり、それぞれを個別に売却することが可能になります。ただし、分筆登記には境界確定測量による正確な図面が求められます。現地の境界標の設置や法務局への地積測量図の提出など、形式的にも実務的にも手間がかかりますので、専門家の手配や費用見積もりを早めに進めておくことをおすすめします(例えば境界確定済み・1筆を2筆に分ける場合、合計10万円程度の費用がかかる例もあります)。

また、相続登記については令和6年(2024年)4月1日より義務化され、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。違反すると10万円以下の過料が科される可能性があります。この義務は令和6年4月1日以前に相続が発生した場合にも遡って適用され、一定期間内(令和9年4月1日まで)に対応する必要があります。
これらの登記手続きは、土地の売却を円滑に進めるうえで極めて重要です。名義や境界の不備があると、買主が安心して契約に踏み切れなかったり、法的なトラブルに発展したりするリスクがあります。信頼性の高い売却を実現するために、測量・登記の手続きは早期に対応し、適切に進めておくことを心がけましょう。
まとめ
名古屋市で土地を売却する際には、公有地拡大の推進に関する法律による届出や申出の義務に注意しなければなりません。また、売却時にはさまざまな税金や費用が発生し、所有期間や手続きの内容によって負担額が変わってきます。土地の境界確認や分筆、登記の整備も重要なポイントです。市場動向や税制を十分に理解し、適切なタイミングで売却を進めることで、安心して取引を行うことができます。名古屋市での土地売却には細やかな確認と準備が大切です。
熊田 典巨
キャリア15年
保有資格
- 宅地建物取引士
- 住宅ローンアドバイザー
- 損害保険募集人
専門分野
名古屋市・北名古屋市・春日井市の不動産を専門に取り扱っています。
住宅用地や中古住宅、中古マンション、収益物件などがメインですが、取引トラブルの多い土地売買が得意です。

